ボロ市の夜

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渋谷から郊外の町へ向かうバスが
渋滞になった道をのろのろと行くと
町はすっかり日が落ちた

世田谷の細かい商店が並ぶ街角で
人ごみで賑わう明るい通りが見えてくる

ボロ市通りは年の暮れ
何を求めるでもなく彷徨うのには
気楽な出店が立ち並ぶ

はじめてこの市に来たのは
いつのことだったろうか

毎年仕事帰りに
バスから眺めるだけだった市を
あの町を出ようと決めた年の瀬に
最後になるかもしれないと思った途端
思わずバスを降りたときが最初だった

あれからどれだけの月日が流れただろう
あの町を出てもう来ることはないと思ったボロ市も
寒い空気が懐かしくなるように
思い出してはまた訪れるようになった











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