カンナの秋

あの頃の秋は いつでも海辺で潮風を感じていた 日々風が冷たくなると思いきや 南から風の吹くときは 直に夏が来るのでは錯覚するほど 歩くと汗ばむこともあった 穂の開ききった芒に紛れて 真っ赤なカンナが咲く町の通りでは 素足にサンダルではやはり寒いと 浜から飛んできた砂の感触を踏みしめていた …
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明日の色

帰り道に振り返ると 山の方に少し雲がかかっていた 明日も晴れるのだろうか 次のカーブの道をまた振り返って 西の空に富士が見えたなら 明日はきっと晴れるだろう
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輝きを見た日

肌寒い秋風の吹く海岸を歩いたのは 思い出すのにも相当時間がかかるほど 遠い過去の記憶だった しかし思い出されたものは記憶の一部分だけで あとはどう辿ってみてもわからない 何も思い出せない空白が多くある 分かる部分だけを繋ぎ合わせた記憶は 思い出すほどに短いものになり そのうち最後に残った瞬間だ…
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夕方の空の色

綺麗な夕焼けの空が いつまでも続いてくれたらと 叶うことの無いことを 思って過ごしたりするとき いつまでも同じ気持ちが 続くことがないというのを 改めて思うときでもある
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風立ちぬ

川面の輝きは昼の暖かさを映し ススキの穂は秋風に吹かれている 揺れる穂は銀色に光 そして夕陽には金色に輝く 明日の風は今日より少しだけ 肌寒くなるような気がする
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秋を往く

いつか嗅いだことのある匂い この冷えた空気には 何度か触れたことがあると確信する それは毎年同じ時候に必ず訪れる瞬間 その瞬間を越えるときに目を閉じると 重なる記憶がコメカミに針を刺すように 脳を刺激してくる 目を開けて 今年の記憶を焼き付けると また一つ増えた想い出を 抽斗に仕舞い込む …
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小春日和

嫌なことがあったときは 思い切って遠くへ出かけるか 近くの知らない町を 当てもなくぶらぶらするのがいいのか 私は一所にじっとしている性質ではない 好きな海辺で何時間も座っていたり 眺めのいい高台で暮れるまで 景色を愉しむことなどはできないのだ 走る車は郊外になるにつれて 肌に感じる冷たさが増…
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懐かしい空

この田圃の中の道を歩くのは 何年かぶりのことだろうか 近くにあると思い いつでも行けると思っていたところは 何年も足を踏み入れない場所になっていた ここは水辺の美しさや 緑の木々はないけれど 空が広く沈む夕陽を眺めるには とてもよい場所だったのだ そのこともいつしか忘れ 何か別のことばかり…
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秋桜の夕日

久しぶりに晴れの道を行けば ほとんどが終わってしまったコスモスが まだ僅かに道端に咲き残っていた 雨に打たれて散った花弁 残った茎は空を向いて伸びたまま 夕の冷えてきた風に揺れている
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祝日の朝

青く澄んだ朝の空 土手の草の上を ひんやりとした風が吹く 帰りの道も 晴れのままであればと 願いながら空を見上げる
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晴れの日を数えて

時間がないと言って あいつは焦るだろう 無いものは時間なのか 時の流れなどは もともとどこにもない 時計もカレンダーも四季も 誰かが作ったものなのだ それぞれの生命が それぞれに老いて 朽ちていくだけのこと あいつに無いものは 残りの命なのではないか 残ったものを数える…
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晴れた曇り

雨が上がってからも 空はスッキリとはならなかった 低い雲だかスモッグだか 顔に当たる湿気は 工場の煙突から出る水蒸気か 町に近くなった新しい滑走路へ降りてゆく 爆音だけが辺りに響いてくる 見上げても飛行機は雲の上なのか 町では様々な音が止むことなく続く 人の住むところも無い果ての運河に佇…
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少し遠回りをしてこの窓の前を通る 今あのカーテンが開いて ガラス越しに顔が覗いても それはあの人の顔ではない 昔、学校の帰り道に通りかかると 喘息で休みがちの彼女の部屋は いつでも窓が確り閉まっていた 長い休みが続いたあと 彼女は学校へ顔も出さずに そのまま空気の澄む郊外へと 転居…
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嵐の前に

曇りの海に出てみれば 風はどこから吹くのか 芒が折れてねじれそうに 風に揺られている 冷たい風から頬に当たる水気は 波の飛沫か それとも霧雨なのか 台風は海の上をやって来る
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色付く大岡川

町の葉も少しずつ 黄色く赤く色を変えてきた 大岡川の桜の並木も 葉が色付いては 川面に舞い降りる 川には流れもなく 行きつ戻りつするうちに 川底へと消えてゆく
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流れる景色

汽車は森を抜けて どこへ着くのだろうか 初めて見る景色に 胸は躍るのか 不安が募るのか 昔にとても不安な思いで 朝のバスに揺られたことがあった あれはいつのことだったか あと少し窓の外を眺めていたら 思い出すかもしれない
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シーバス

誘いのメールは 返事を考えている間に そのまま忘れてしまった 言い訳を考えていたら 携帯を部屋に置いたまま 町へ出た 雲のある薄い空色の午後 風の無い海へ 駅の桟橋を出たシーバスが 橋の下を抜けて行く 国際会議が終わるまでは 町の通りには警備に付いた 警察官の姿がやたら多い たま…
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並木道で

町の銀杏並木では ギンナンの臭いが漂い 寂しげな木陰の道では 雨に打たれた栗が転がっている どこを見渡しても今は秋 肌寒い夕暮れは あっという間に暗くなり そろそろ冬物の上着は どんなものだったかを 思い出したりする
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雨降り

雨の日に水路に沿った道を行く 水の嵩はいつもより多く 恐ろしい程に速く流れている 憎しみを流すことができるのなら ポイと簡単に捨ててしまいたい もし大事なものと一緒に捨てろと言われたら 私はあんな奴のための憎しみと一緒に 大切な何を失ってもいいというのか 早く雨が止まなければ 私の頭…
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夜のR16

16号は桜木町 ここは東横線の古いガード下 真っ直ぐな道には人通りも無い 16号は真夜中で タクシーの群れが通り過ぎる 33キロ先まで行けば 海沿いのカーブを抜け 観音埼まで辿り着く 本牧岬で聞く波音と 観音埼の貝殻浜で聞く波音は どこが違うというのか それでも波の音を聞きに 16…
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森を抜けて

森が終われば町が現れる 自然の木々に触れている夢の中になど いつまでもいられることもない 町の雑踏が現実なのか 汚れた空気は生きている証なのか 夢の続きが二度と見られないのなら 森へと引き返したところで 同じ獣道を歩くことはできず 町へ戻ってくることもできない 夢の中を彷徨うことは …
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秋色の道

昔に古い城下町を旅したのは どの季節だったろうか あれは寒い風の吹く秋だったか 梅花が散る春のはじめだったか 目を瞑っていて あの頃が思い出されるのは 今の風があの時と とても似ているからだろう 今歩いている道は あの黒く重たい瓦屋根の町家など 見渡したところでどこにもありはしない …
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秋の夕を追って

日没までに海まで行けるのか 人波をかき分けて急いでみる 町はもうビルの長い影の中 太陽はどこに沈むのかもわからない 海はすぐそこだという所まで来ると ビルの隙間から日が当たってきた ここから先はまた影の中 海に着く頃までには日は沈んでしまうだろう 立ち止まって見ていると 日はあっとい…
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海辺の秋

残暑が長く厳しかったせいか 芒が開くのがいつもよりは遅かったのか 海の風が吹く場所にも 秋の雰囲気が漂うようになり また今年の終わりまでを 数える時期になってきた
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花が咲く街角

花はどこででも咲くのか 好きだったあの可憐な花が 今は橋の向こうの袋小路の隅で ひっそり咲いているという それを探して訪ねてみれば どこにも咲かぬような艶やかな色で 生き生きと花を成していた 以前に私が知っていた 淡く繊細で薄い花びらを想像していたが 美しさはそのまま残っていた 短…
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