貝殻の風

貝殻濱に辿り着いたのは 日も暮れかかった時分であった さざ波の音が微かに届く 風は雨上がりの冷んやりとした心地 秋がやってきたことを 半袖の素肌に感じると そろそろ数あることを拾い考えるように これからの季節は 物思いに耽ることが多くなるのか
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繰り返す景色

何年か前のある日に ここを通った気がした それは明け方だったか 眩しい夏の日か 寒い冬の夕暮れか 貴方は、私がここを通ったことを 知る筈もないのだろう どんな思いを抱いて この道を帰っていったかなど 考えたこともないのだろう 離れたそばから 貴方の心には他のかがあって 変わる景色と…
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最後の暑さか

過ぎ行く夏を 9月の空に感じながら 炎天下の草の上に立つ 汗は少し涼しげになった風に消え 苦しさは早くなった日没に霞む 明日は少し秋になっているのだろうか
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今しかない景色

あの人と行ったあの浜は 岩のごつごつとした 浅瀬や深みの入り混じった 断崖に囲まれた入り江にあった 盗人狩は人里離れ 声を掻き消した募る想いの果てにあり 盗人狩は憎んだあいつを 愚かな屑だと心を取り戻しに来た場所である
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駅の踏切

また踏切が閉じる 次は急行電車の通過か それともあいつの乗っている各駅停車か 電車は幾つ見過ごしただろう 人の波はどれほど流れただろう 時間が経る毎に 町の照明は少しずつ増える 夕暮れの中で 電車は次第にシルエットになり 人の足も少しだけ速くなる
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線路の向こう

いつか来た 引込み線の果てにある 駐留軍のゲート 線路伝いに続く鉄条網は あのとき永遠の別れを告げたあいつと 金網で指が千切れそうになるほどに 強く握り合った場所にある 横浜を出ていったあの船は 形すら忘れてしまったが 突堤の端まで追いかけた あのときの気持ちは 今でも昨日のように覚えている
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国境の橋

渡ってみてはまた戻る 戻れば振り返り 出るのは溜息か 帰りの足か 国境はあの人を追いかけた 思いの果てにあるものか 理想を求めてやってきた 何かを捨てる吹き溜まりの隅に 国境の橋は架かっていたのか 今見える風景は 昔に争いのあったことなど 考えもしなかった者たちの 荒れ果てた摩天楼の森ばかりだ
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給水塔と雲

古い団地の町には いくつもの給水塔がある 昔は最先端のものでも いつかは懐古となる時がくる 物が古くなれば 人間も古くなる 自然界でも町の中でも 命が長いのは 緑の木々なのだろうか
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オレンヂの日

町は、明るいか暗いか 太陽に照らされるか 蛍光灯に浮かぶかで 目に止まる色が変わるわけではない 町の何もかもが 色を変えてしまい 本来の色彩を捨てるのは 太陽が赤くなるときである 果たしてその瞬間に 人の心の色も 変わることがあるのだろうか
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飛行機雲の日和

空が青い日に いつどこからともなく 薄い雲が広がり 砂をまいたように 縞が斑に溶けてゆく 飛行機雲は いつ消えるのかと じっと見ている人が この空の下のどこかに どこかの町にいるとしたら 私はその人に会いたいと 思ったりするだろうか けれど会ったとて そんな人とは話す…
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八月の蜻蛉

田圃の水はさらさらと 涼しげな音で用水路から注ぐ 稲穂の上をトンボが飛び交う 八月は終わってしまう 夏が終わるという感覚がない 残暑の厳しい中で 今、八月が終わる
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真夏日の日陰

じりじりと焼け付く日差しを逃れ どこかに日陰を探して入り込んだとしても 蒸し風呂の中にいるような熱気を 遠ざけることはできない 真夏の日は、いつ町から去るのか 夏の終わりは、いつのことやら
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暮れなずむ川

今は、夕暮れなのか いつから夕暮れだったのか 西の空に背を向けていると 日の沈んだのがわからないほど いつまでも空の色が赤かった 振り返って夕日を探し 来た道を戻るように あの日の私を追いかけますか 空が暗くなるのを待って あなたを諦めた理由を探しますか いつまでも何かを待つのは 疲れてしま…
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京浜の青い空

この町に、空など無いと 言われた時があった 煤煙に覆われる鼠色の空と 煤けたコンクリートの塀に道路 汚泥と悪臭で見ることもできぬ川 スモッグと排ガスで息もできなかったあの頃 目を閉じるとついこの間のことのように 思い出すことができる 工場の動かない盆と正月にしか 澄んだ空など見られなかったのは …
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夏草の駅

いつか来る、なかなか来ない電車は 待っている間に、眠気を誘う 遠くから踏み切りの音 風が、強く吹けば 電車の響きが聞こえてくるような 耳に心地よいリズムが刻まれる 目を開けると 線路に茂った夏草が ざわざわと音を鳴らしていた
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あの朝の雲に

あのときは、この空なんて いつでもある空と変わりないと思っていた 空を見る人がどこかにいて それが、私の知る、とても身近な あの人だったとしても 私はそんなことは何も気がつかず 空をただ、空だと思うだけだろうか 雲は物思う人の心の表れと それがロマンチズムとでもいうように 一人自我に酔うような女…
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霞む街

夏草の茂る線路には キャナルの湿った風が 陽炎のようになって 向こうの町をぼんやり映す 真夏の暑さはいつまで続くのか 8月はあと一週間で終わるのか 夏は心の中では永遠を願い 涼しい風を感じた途端 片恋が破れたような 喪失感を味わうのだろうか
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基地へ続く線路

運河を渡る線路は 古い木製の枕木と 海風に錆び付いたレイル いつからここを 列車が通らなくなったのか 鉄橋の響きを聞かなくなったか 雑草を揺らす亜硫酸の風でさえ もうとうに忘れてしまっただろう
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橋の上から

この橋を渡ってまっすぐ行けば 駅の方に出られると思っていたが 駅前に大きなビルができてみると 駅は、橋から見てあんなに西の方角に あることがはじめてわかった 町に高層ビルが増えるたび 今までの方向感覚が 間違っていたことに気がつく
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まだ夏の花

もうほとんど枯れていた向日葵畠も 今花盛りの花は残っていた まだ夏の暑さ、まだ夏の日差し 夏の空も残っている
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眠い鳩

立っているのも辛いくらい 暑い日にうんざりするのは 人間だけではないのだろう 空飛ぶ鳩もすっかり疲れ カミソリ堤防の上にへたりこむ 雲は晴れなくても 横浜の町に雨が降ることはなく 川の風が涼しかったのが 少しだけ心を和ませた
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空のない道

振り返れば渋滞は果てまで続き 交差点では流れない車にまた赤信号が付く 見えるのは車から出る瓦斯の粒 それが道の上をぐるぐると渦を巻き 口に鼻に耳に目に入る ここは産業道路の分かれ道 隙間の空を見上げて 息を吸い込んでみても むせて咳き込みそうになるだけだった
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憂鬱な夕間暮れ

今、思い起こしてみると あのとき、ああしなければと ああしておけば良かったと どうしてそんなことが 頭を過ぎってしまうのか そんなつまらない気持ちが いっぱいに溢れてしまうのが 日没の頃なのだろうか 夕日の色はあんなに美しかったのに 日の沈んだときの空の色は 筆舌に尽くしがたいと心に留めたのに …
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ゆく夏の風

暑さが消えない町の中で どこへ行っても熱い風が吹く 広い河原に出てみたら 風はどうだろうか 帰り道は川沿いを行くことにした
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想い出の隙間

あんなことがあったと いつでも思い出せることがある どうしてああなったのかと その理由があやふやな 部分的に思い出せることもある 僕の想い出の隙間には なにか大切なものが 落ちてはいないだろうか 何かやり残してしてまって 忘れてしまったものなど 所詮は大事ではなかったというのか 忘れたか…
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