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カンナの秋

あの頃の秋は いつでも海辺で潮風を感じていた 日々風が冷たくなると思いきや 南から風の吹くときは 直に夏が来るのでは錯覚するほど 歩くと汗ばむこともあった 穂の開ききった芒に紛れて 真っ赤なカンナが咲く町の通りでは 素足にサンダルではやはり寒いと 浜から飛んできた砂の感触を踏みしめていた …
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小春日和

嫌なことがあったときは 思い切って遠くへ出かけるか 近くの知らない町を 当てもなくぶらぶらするのがいいのか 私は一所にじっとしている性質ではない 好きな海辺で何時間も座っていたり 眺めのいい高台で暮れるまで 景色を愉しむことなどはできないのだ 走る車は郊外になるにつれて 肌に感じる冷たさが増…
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秋桜の夕日

久しぶりに晴れの道を行けば ほとんどが終わってしまったコスモスが まだ僅かに道端に咲き残っていた 雨に打たれて散った花弁 残った茎は空を向いて伸びたまま 夕の冷えてきた風に揺れている
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花が咲く街角

花はどこででも咲くのか 好きだったあの可憐な花が 今は橋の向こうの袋小路の隅で ひっそり咲いているという それを探して訪ねてみれば どこにも咲かぬような艶やかな色で 生き生きと花を成していた 以前に私が知っていた 淡く繊細で薄い花びらを想像していたが 美しさはそのまま残っていた 短…
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匂いに包まれた街

町の中を行くと どこにいても風に乗って 金木犀の香りが漂ってくる 花は可憐で儚いというが このどこまでも付いてくる初秋の香りは 逃れようのない過去の呪縛のように 脳の記憶の中枢に毒矢のごとく突き刺さる そしてそんな頭の重い時間も束の間 悪の呪文が記憶と共に消されるように 町から匂いは無くなっ…
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曼珠沙華の道

彼岸が過ぎて 涼しさに慣れてきた頃 今年は遅れて咲いた曼珠沙華も そろそろ終わりの頃となった 色褪せてゆく朱色の刹那に 朝日に輝く小道の花は 最後の色を輝かせていた
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コスモスの咲く川

冷えた風の吹く川の道には コスモス畑が続いていて 花びらがキラキラと揺れている 雲は真っ白で 西の風に乗って 青い空を流れている
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萩の散る川

秋はどこからともなく漂いくる 花の淡い香りに誘われる 埠頭までの古い橋を渡るとき 石積みの岸壁に垂れて咲く 紫の小さな花に目が止まる 海に近い流れの止まった川は 少しの汐の匂いの中に 花の香りを乗せて 川面を揺らしている
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白い花

幼い頃 池の帰り道に立ち寄った 彼岸花の咲き誇る土手 初めて見る花の形と その一面の花の色を見て 思わず摘み取って 家に持って帰った …
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段葛の夜

獣が寄らぬよう 墓場に植えた毒花が 今は漫ろ歩く道端の どこにも生えて赤く咲く 昔に入った洋菓子屋の前を通るたび あのときあいつと買ったものは なんだったのだろうと 思い出してみても何もわからない 今再び店を訪れたとしても 当時の菓子があるものか あったとてそれがわかるものか わかったところ…
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永遠の別れ

永遠の別れは 突然にやってくる あの人と最後に会ったあの顔が 結局は最後に見た姿となり あのとき交わした何気ない日常の言葉が 今生の別れの台詞となる 別れの場面を思い返せば 想い出は後悔にも似た感情と 虚しいような仕方なさとが 変えられぬ過去として現れる いつかどこかで会えるだろうと …
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くれなゐの華

今までどこに咲く気配もなかったものが 彼岸になってみると 河原の彼方此方に赤い花があった 今年も咲いたのは彼岸花 夏草が刈られたあとも この花の根だけはどこかに残っていて いつの間にか茎は伸びて 知らぬ間に咲くのが毎年のことである
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曇りのコスモス

午後になって空は みるみるうちに雲に包まれた 雲は色濃く厚くなり 町は薄暗くなった どこまでも続くコスモスの道で 艶やかに澄んでいた花たちは グレーの空にくすんだ色になる 夕焼けの無い空から 少しだけ雨粒が降りてきた
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コスモスの雲

見飽きたと思っていたものも 見られなくなれば寂しくなり 行きたくないと思った場所も いざ通り過ぎてしまうと 戻りたくなったりする 去年咲いた花は見られなかったが 今年のは見られるだろうか あの森へ上る細い獣道は 草に埋もれることもなく 今でも花畑へと続いているのだろうか
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真夏日の日陰

じりじりと焼け付く日差しを逃れ どこかに日陰を探して入り込んだとしても 蒸し風呂の中にいるような熱気を 遠ざけることはできない 真夏の日は、いつ町から去るのか 夏の終わりは、いつのことやら
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まだ夏の花

もうほとんど枯れていた向日葵畠も 今花盛りの花は残っていた まだ夏の暑さ、まだ夏の日差し 夏の空も残っている
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田圃に咲く

町の喧騒を逃れて 渋滞する道路を横切ると 誰からも忘れ去られた 葦だらけの池伝いの道 その先のトラックの行き交う汚れた舗道を 御社の角から庚申塚の方に折れると 日に焼けた文化住宅の並ぶ奥に 少しの田圃が現れる トンボが飛び 裏の山では蝉時雨
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